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友の会活動交流集会での講演(要旨)

2.足立区の経験とその特徴

03年1月20日 更新

(1)最大の財産は区民の「自信」

 足立のこれまでの運動については、皆さんも多少、お聞き及びだと思いますが、いろんな意味で財産を残すことができたのではないかと思っています。足立区の役人の人も含めて、とにかくホテルはやめてよかったなと、これはみんな共通して言うことです。足立区より一足先にホテルを建ててしまった区もあります。税金は絶対、投入しませんと言っていたのですが、結局、ホテルもデパートも駄目になって撤退した例もあるものですから、とにかく直前でしたけれども、足立区はやめて本当によかったと、今ふり返っても、言われているのです。

 もちろん、それだけをやった訳ではありません。私が区長をやったのは約3年ですから、予算編成を3回やりました。初めの予算編成というのは、私は9月に区長に就任しましたから、9月になりますと、もう来年度の予算のだいたい骨格は固まっているのです。ですから、実質は2回ぐらいの予算編成なのですけれども、こういう中で乳幼児の医療費の無料化だとか、あるいは介護保険の準備ですね。特別擁護老人ホームの建設だとか、こういうこともやりましたし、足立区は特に中小零細企業の多い町ですから、その融資制度を、本当に困っているところを応援できるような制度に改善したり、いろいろ手を付けることができました。

 しかし最大の財産はいったい何だったのかと考えてみますと、この3年間の闘いを通じて、区民がいろんな経験をしたと。そして一言で言うと、何か自信のようなものをもった。これが最大の財産だったのではないかなと思います。わかりやすく言うと、やればできるというのは、皆さんも小さい頃からよく言われて、あまり真に受けている人はいないと思うのですけれども、今までだったら行政が何か計画を出すと、たとえば学校の統廃合の計画などが出ますと、「もうどうせ、これは計画、イコール、だいたいそうなるに決まっているのだから、ここの学校は潰れるから、早めにこっちの学校に移ってしまおう」とか、「どうせ多少いろいろ言ったって、そういうことはどんどんやられるに決まっているのだから」というようなあきらめの気分があったのです。私の最初の選挙のときも、「誰が区長なんかやったって、あまり変わりないのではないか」なんて言う人が結構いました。

 ところが、何かやっぱりおかしいと思うことには、おかしいと声を出して、みんなで力を合わせたら、変えることができたじゃないかと、こういう自信ですね。やればできるという自信。こういう気持ちが区民の中に残った。これが最大の財産ではないかと思います。

 実は、昨年私のあとに区長になった人というのは、私の前の区長の時代の助役さんなのです。この人が、もうちょっと考えてやればいいのに、最初にやったのが保育料大幅値上げと、それから区立の幼稚園を2園、廃園するということです。区長に就任して早々にそういうことをやりました。ところが今までだったら、それはもうしょうがないなと、なるのですけれども、これが直ちに地元から反対運動が起きる。今まで、ちょっと考えられなかったことなのです。しかも、だいたい今まで反対運動をやるなんていったら、共産党の人が定番みたいだったのですけれども、いわゆる保守支持の人も、あるいは公明党支持の人も、超党派で「なんでこんなにまだ入りたいと言っている人もいるのに、やめるんだ」と、廃止反対の署名が、あっという間に5千とか、8千とか、その地元で集まる。このエネルギー。こういうものが、当たり前のようになってくる。そういう区民のエネルギーといいますか自信。これが何と言っても、これからにつながっていく大きな財産だったのではないかなと思います。

 実は私、最初の選挙のときは、世直しドクターというキャッチフレーズでした。その世直しドクターというのは、その後、たくさん日本中で生まれまして、特に民医連関係のお医者さんなんかが引っ張り出されて、私の知っている方も、「お前ができるのだったら、俺も一丁やってやるか」と、思ったかどうかは知りませんけれども、「そう早まるな。」と私はだいぶ言ったのです。「吉田万三という名前がよかったのではないか」とか、「キャッチフレーズがよかったのではないか」とか、みんないろいろ言いましたが、もちろんキャッチフレーズも、名前も大事だと思うのですけれども、やっぱり選挙に勝つということに至るには、住民の運動がそこにはあったのです。表面だけ見て、上手にキャッチフレーズを使ったら、勝つようなものではないのだから、そんなに焦ってはいけないと言って、私はだいぶ裏で足を引っ張ったりもしたのです。

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