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友の会活動交流集会での講演(要旨)

4.民医連の活動の広がりと共同組織の役割

03年2月3日 更新

(2)介護保険の開始

・すべての住民が手をつなぐチャンス

 特に介護保険が始まって私が強調しているのは、これからは相当粘り強く、腰を据えて、介護保険の改善に取り組んでいかなければならないことです。5〜10年かかるかもしれない、気の長い闘いです。しかし、介護保険の問題だとか福祉の問題というのは、大多数の住民共通の切実なテーマですから、逆に考えれば、いろんな考え方の違いを越えて、すべての住民が手をつなぐチャンスでもあるわけです。ある意味では大きなチャンスです。ですからそういう心構えで、この介護保険の改善に取り組んでいこうではありませんか。

・24時間ホームヘルプ事業の経験

 そのとき何が必要か、1つの実例として24時間のホームヘルプ事業についてお話します。私が区長に就任した時、足立区ではすでにモデル地域として、北千住の地域で24時間ホームヘルプ事業が実施されていました。それを私の時代に、一部地域のモデル事業から、一挙に区内全域で実施することにしました。

 よく「どうしてそんなことができたのですか」という質問を受けることがあります。実は「これをやるために何が必要か」を初め検討した時のことです。行政の部長、課長、係長で検討しまして、はじめにできた計画は5ヶ年計画ぐらいだったのです。順次実施区域を広げていきましょうという計画が出てきました。そこで「これをやるためにどういう条件が必要なのか」ということを私は質問しました。

 そうしましたら、2つあったのです。1つは、この事業をやるための予算がちゃんとつけらけるかどうか。もう1つは、やるとなった時に手を挙げてくれる人がいるかどうか、ということなのです。24時間のホームヘルプ事業というのは、夜中、といっても明け方とか深夜とかに、各家庭を訪問する、なかなか大変な仕事です。ところで、手を挙げてくれる人はいるのかというと、いたのです。

 そのいるというのは、当時2つの事業所でしたが、その一つは民医連なのです。私のいる健和会が、まだ公的な事業になる前から取り組んでいたのです。地域の要求がある、これから必ず求められる仕事だということで、先行的にそういう事業をやっていたわけです。

 ですから、「やる人はいますか?」と言ったら手を挙げる人はちゃんといて、なおかつ55ヶ年計画でと言うけれども、やる気になってきちんと予算をつければ、全区で実施できるわけです。これから介護保険が始まる時期ですから、これは直ちにやろうということになりました。別に民医連だけでやれと言っているわけではありません。手を挙げてくれる人は誰であろうと、やってもらうのは当然です。

 大事なことはお金の使い方を切り替えることだ、と言いますが、予算をつけるだけではダメなのです。やはりその地域で、自力でそういう仕事をきちんと事業としてもやれる、力や実績がないと、なかなか実現できない課題なのです。

 ですからお金の使い方を変えるというのは非常に大事なことだけれども、同時に地元の民医連や共同組織が、住民と一緒になって、事業も作る。住民が必要としている事業が、ちゃんとそこに存在しているということの意味は大きい。このことがなければ、いくら良いことをやろうと思っても、「お金をつけるよ」と言っても、つける先がなければ、住民の要求にはこたえることができません。そういう点で、私どものいろいろな活動や事業が、ますます大切な時代になってきています。

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