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友の会活動交流集会での講演(要旨)

2.足立区の経験とその特徴

03年1月22日 更新

(3)豪華区役所建設、ホテル計画の背景

・バブル崩壊後の全国的な地方財政の危機

 先程話した豪華な区役所だとかホテルの計画の背景のことをちょっとふれておきたいと思います。この豪華な区役所とか市役所とかという話というのは、決して足立に特殊な現象ではないのです。日本全国で似たような豪華な県庁とか豪華な区役所とかというのが、この10年ぐらい日本のあちこちで起きたのです。それで軒並み地方財政の危機といわれるような状況が生み出されているわけです。

 多分北海道などにも似たようなことがたくさんあると思います。1991年(平成3年)から92年(4年)にかけてバブルが崩壊するわけですが、その後に政府がやったことというのは、8次にわたっての緊急経済対策というものです。今回も最後の公共事業の補正予算だと言っています。緊急経済対策というと聞こえがいいけれど、いわゆる従来型の公共大型開発事業にどんどん金をつぎ込むようなことを、バブル崩壊以降約10年ずっとやってきたわけです。それにつき合っていたために、こういうことが起きたのです。

 未だにバブルの後遺症というのがあります。北海道の拓銀はつぶれましたが、銀行には直接正面玄関からお金も導入する。それから長期にわたって低金利政策を継続するようなこともやっています。同時に今ゼネコンも相当まずい、もうつぶれそうなところが大分出ています。いわばバブルを煽った、裏で糸をひいたのが銀行なのです。裏でゼネコンやあぶない仕事はヤミ金融のようなものまで使ったりしたと言われています。要するに銀行が大儲けしようと思ってゼネコンにお金を回して、それで土地をあちこち買い占めたりするようなことをやったのです。

 ですから、ゼネコンがつぶれるとどうなるかといいますと、不良債権だとかそういうものが、最後は全部銀行に回ってくるのです。だから銀行を助けるためには、銀行を直接助けることと合わせて、ゼネコンも助けないと銀行が助からないような仕組みになっているのです。バブルは崩壊したのだけれども、ゼネコンが何とかもちこたえられるような、仕事をつくらなければいけなかったのです。

 ところが、民間は冷え込んでいますから、結局は税金を使った公共施設だとか、よく箱ものとかいわれますけれども、そういうものをガンガンやって何とかもちこたえさせようという流れがあったわけです。それで「今がチャンスですよ」、「補助金も出すからどんどんやりなさい」ということで、いわばお金がないのに借金してまでバーゲンセールにかけつけるように、みんなあちこちでいろいろやったのです。足立ももちろんそうでしたし、日本中に豪華な県庁だとか市役所だとか公共施設が沢山できました。

 こんなことに反省もないまま、ゼネコンが儲かるような大きな仕事を何とか税金を使ってやってしまおうというようなことを、未だにやっているようです。そういうことで、国も相当ピンチになっていますが、日本中の地方自治体も相当財政的に厳しい状況になっています。

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